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健は25も年が離れているうら若き情人、愛とホテルの一室でソファに座りながらナイター中継を観ていると、試合後、お立ち台に立ってヒーローインタビューを受ける二人の選手について触れ、「男の人が讃え合うって何だか素敵だわ・・・男の友情って感じね」と持ち掛けられ、シニカルな笑みを湛えながら語り出した。
「お互いファンの歓心を買おうと、飾り立てた言葉を言い合ってるのに過ぎないよ。慮ってみれば大人の遣り取りなんて悉皆、そんなもので心の中は全くさもしく浅ましく勘定づくのことばかりじゃないか。仮令、そう分かっていても俗人は真実を言う者を嫌い、レトリックを尽くして外交辞令や綺麗事や美辞麗句や巧言令色を並べ立てる偽善者に好感を持ち、空っぽの美しい言葉に浮かれてしまうものなんだ」
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