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「だ、だから…あの…」
男の子からこんなに真っ直ぐ見つめられるなんて初めて、しかもそれがあの相沢なんて。
「付き合ってないんだよな?」
「…え?」
「…牧丘とは、付き合ってないんだよな?」
…何でここで、その名前が出てくるの?
「う、うん。ただの幼馴染」
「じゃあ、今好きなヤツは?」
「え…好きな人?」
未だに、心臓が口から出てきそうな位心臓がドキドキ煩い。今好きな人どころか、好きな人すらまともにできたことのない私には、何で相沢がこんなことを聞いてくるのか、イマイチ良く分からなかった。
中三にもなって初恋もまだなんて、ミオちゃん以外の誰にも言えない。
「いる?いない?」
「い、今はいない」
「…ふぅん」
自分で聞いたくせに“ふぅん”ってなんだ…とか思いながらも、やっぱりからかってる感じはなくて落ち着かない。
変なの。相沢にからかわれるの嫌いだったのに、真面目な相沢に違和感感じてるなんて。
「ふふっ」
「…何で笑うんだよ」
ジトッと睨む相沢に、私も少しだけいつもの調子を取り戻した。
「何か、雰囲気に笑っちゃって。ごめん」
「そんなに変だった?」
「いつもの相沢と違うから」
「俺、いつもどんな感じ?」
「え?そりゃあ…」
意地悪で、嫌味ったらしくて、全然優しくなくて…
「…やっぱ、最悪だよな。俺」
目の前の彼は、相変わらず眉間に皺を寄せたまま。けどどことなく恥ずかしそうで、私に向ける瞳はウルウルと輝いているような気がした。
「ホントは…酷いこと言いたくないって、優しくしたいって思ってる。けどいざお前目の前にすると、どうしても素直に色々言えなくなる」
ゆっくりと、相沢が近付いてくる。今度は、逃げない私。きっと、私の顔も真っ赤だと思う。顔から火が出そう、ってこういうことを言うのかもなんてちょっと考えたり。
「…思ってない」
「え?」
「ブスとか、暗いとか、思ってない」
それはいつも、相沢から言われる酷い言葉達。
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