第一章「私達の初恋」

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一言で言えば、拍子抜け。授業始まるギリギリに教室に戻ったから、すぐに何か言われることはないだろうなとは思ったけど… 「良かったじゃん」 放課後になっても、誰にも何も言われなくて。チラッと隣の相沢を見ても、私のことなんか見えてないみたいに反応なしで。 「逆に怖いなぁ…」 ミオちゃんと二人で家庭科室に向かいながら、私はどうも納得いかないってミオちゃんに話した。 「相沢も、悪いことしたなって思ったんじゃない?」 私達二人は、一年の頃から同じ家庭科部。三年生の今は、ミオちゃんが部長で私が副部長。それほど多くない人数で、楽しく穏やかに活動してる。 「それはないね、絶対。アイツ、自分のこと王様だと思ってるもん」 自信満々の王様。私をからかうあの目は思い出しただけでもムカムカする。 「なんにせよ、このまま何も言われないと良いね」 「うん。ありがとう」 ミオちゃんの言う通り、何もないならそれが一番。無駄なこと考えるのは、もう止めよう。 ーー 「よ」 放課後、部活が終わってミオちゃんと下校してさっきバイバイしたところ。後ろから、ポンと肩を叩かれた。 「牧丘」 家がほぼ隣みたいな感じで、幼稚園から中学校までずっと一緒。もちろん、二人で遊んでたのは小学校低学年位まで。顔を合わせれば話すけど、遊んだりはない。 牧丘はサッカー部のキャプテンで、毎日遅くまで部活してるから、私とこんな風に帰宅時間が被ることはあんまりない。 「部活、遅かったの?」 「あ、うん。体育祭の衣装作ってて」 もうすぐ体育祭。毎年、伝統みたいに家庭科部が応援団の女子の衣装を製作してる。 「大変だな、家庭科部」 「サッカー部の方が大変じゃん」 「別に。部活は大したことない。そんな力入れてないし」 「クラブチームだっけ?そっちの方が大変?」 「練習内容で言えばね。でも楽しいから」 牧丘は、本当にサッカーが好きなんだなぁ。
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