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ーー拝啓 土田直輝 様
ーー御無礼を御許し下さい。
ーー貴方にもう一度御会いしたい。
手紙を書き終えると富子は近所の
郵便ポストに投函した。
返事は来ないだろうと思いながらも
心の何処かでは期待しながら待ち続ける。
3日過ぎ…5日過ぎ…10日過ぎ
直輝からの返事は無い。
返事が来ない間に富子は何通も手紙を
送り続けた。
書き損じた手紙もあり部屋の中は
丸めた紙で散らかり放題になった。
ーー直輝様 一目だけでも良いのです。
ーーもう一度会ってお話ししたい。
ーーそれ以上は望みません。
(あたし…良い歳してなんてはしたない…
でも自分の気持ちを抑えられない)
富子はそう思った。
「結婚話を破談にした件は悪かった…
でももう一度幸せになって欲しいんだ」
そう言ってお見合いを勧めてきた亡き両親
当時は理不尽だと思ったが
その気持ちが今なら痛い程分かった。
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