第2章:死ぬ前に…

6/6
前へ
/25ページ
次へ
「全く…何が"終活"よ。 独り身のあたしが死んでも困る人なんて いないし何を準備すればいいの? それにしてもシャンプーが見当たらないわね 買い置きなかったかしら? さっきコンビニで買えば良かった…」 お風呂場でブツブツ(しゃべ)りながらも 頭の中では嫌でも考えてしまう。 ーー死ぬ前にやり残した事は無いか? 考えても答えなんて出ない。 そうこうしてる内に眠くなって 浴槽内(よくそうない)でウトウトし始めた。 すると一瞬恐ろしい事が頭をよぎる。 (お風呂であたしが亡くなったら 誰にも発見されず…腐敗臭が漂う ミイラ状態になるんじゃないの…?) 去年近所の山田さん家のお爺さんが 浴槽内と脱衣場の温度差による ヒートショックで亡くなった事を思い出す 富子もまたいつ訪れるか分からない 死の恐怖と向き合わなければならない… そう考えると怖くなった富子は 自分の身体に異常が無いか確認する様に 恐る恐るお風呂から上がると 夕御飯をサッと食べて その日は早めに寝ることにした。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加