4人が本棚に入れています
本棚に追加
「全く…何が"終活"よ。
独り身のあたしが死んでも困る人なんて
いないし何を準備すればいいの?
それにしてもシャンプーが見当たらないわね
買い置きなかったかしら?
さっきコンビニで買えば良かった…」
お風呂場でブツブツ喋りながらも
頭の中では嫌でも考えてしまう。
ーー死ぬ前にやり残した事は無いか?
考えても答えなんて出ない。
そうこうしてる内に眠くなって
浴槽内でウトウトし始めた。
すると一瞬恐ろしい事が頭をよぎる。
(お風呂であたしが亡くなったら
誰にも発見されず…腐敗臭が漂う
ミイラ状態になるんじゃないの…?)
去年近所の山田さん家のお爺さんが
浴槽内と脱衣場の温度差による
ヒートショックで亡くなった事を思い出す
富子もまたいつ訪れるか分からない
死の恐怖と向き合わなければならない…
そう考えると怖くなった富子は
自分の身体に異常が無いか確認する様に
恐る恐るお風呂から上がると
夕御飯をサッと食べて
その日は早めに寝ることにした。
最初のコメントを投稿しよう!