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気が付けば狭い中に閉じ込められ、いつも暗い。
一番明るい時でさえ、昼間に目を閉じている程度の明るさだ。瞼の裏のぼやけた緋色。それは、目を開けたからといってたいして変わり映えのない薄暗さ。上も下も分からない。俺は自分が今どこにいるのかも、分からない。耳もおかしいのか、音も、水中から聞いているようだ。
俺の思うように動かない体は閉じ込められたから、だけではなさそうだ。1本の管によってのみ俺は命を繋がれていた。
どのくらいの月日が流れたのか……
突然けたたましい衝撃が身体を襲い、苦しさに息を止めた。いや、息などはなから出来ていなかったのかもしれない。苦しい、苦しい、苦しい。身体が押し潰され、大きな悲鳴が聞こえた。
細い細い光が道筋を照らしてくれて、そちらに目を向けた。そちらへ行けば助かるのだろうかだけど、とても、遠い。
誰かが力強く俺を押してくれた。誰かが引っ張ってくれた。つまり、俺は“助けられた”のだと思う。この暗く狭い密室から。
次の瞬間、浴びたことのない光に、呼吸も出来ずに目を閉じた。
「息をして!」
誰かの声が聞こえる。
全身が震える、寒い!ここはどこだ。眩しい!眩しさに泣き叫んだ。全身で、力の限り。
俺の身体から管は外され、その頃にはもう……寒さは感じなかった。
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