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先か後か
俺達のボスは“神”と呼ばれる絶対的な存在だった。
個別に呼ばれる理由はここでは1つしかない。
「お前とお前は、同じ場所へ行け」
そう言われて顔を見合わせたのは、見馴れた男。俺より少し背の高いその男は綺麗なアーモンド形の目をいたずらっぽく光らせると、目尻には笑い皺が二本。
「じゃんけん、しようぜ」
そう言って、腕を捲った。こんな大事な事をじゃんけんだと?チラリとボスを伺ったが、今までで一番“優しい”笑顔で、俺達に背を向けた。いいのかよ……。
「じゃーんけんっ」
咄嗟に言われて出したのは、俺はチョキ、相手の男は……パーだ。得意気に指を2本立てたその手を相手の顔の前に掲げて見せた。
「こんな大事なことは、勝った方だよな」
「な……っ」
何だと!?
そう言おうとした声を出す間もなく、俺はその男に突き落とされた。
最後に見たのは、綺麗なアーモンドアイ。
こんな時だっていうのに、あの男……笑ってやがった。
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