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女の子はなかなか起き上がらなかった。僕は彼女を助け起こしていいものか迷っていた。
なぜなら僕は女の子にろくに喋った事がないのでどうしたらいいかまったくわからなかったからだ。
さわったら変態扱いされちゃうかもしれない。と怖くなりやっぱり110しようかと思った時、女の子がおきあがってきたのだった。
「痛ったぁい!せっかく外に出たのに……」
そう呟いた女の子はその大きい目で僕をまっすぐ睨みつけた。
僕は悪い予感がして「ゴメンなさい!」ととりあえず謝って足早にその場を立ち去ろうとした。こういう時は逃げるのが一番だ。下手にトラブルに巻き込まれないようにしないと。
「君、いきなり逃げるってあり?」
後ろから女の子が叫んだ。僕はハッとして立ち止まった。やっぱり悪い予感は……当たった。
僕は痴漢か何かで交番に連れて行かれるのだろうか。だけどどうすることもできない。女の子が僕の目の前まで来た。僕は何もする事が出来ず、ただ俯いて汗ばんだ手を握りしめているだけだった。
「お久しぶり!ずっと会いたかったよ!」
予想もしなかった女の子の言葉に僕は思わず顔を見上げて女の子を見た。女の子が微笑みながら僕を見ていた。とんでもなく可愛い女の子だった。彫りが深く、その大きな目は緑と青が混じったような色をしていた。
彼女は続けてこう言った。
「やっと会えたね!10年ぶりかな?」
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