私たちを終わらせる人

1/1
90人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ

私たちを終わらせる人

 明日覇は、ガラスの棺の前に立っていた。 「お父さん。ついに、この人を連れて来たわ」  ぐいっ  明日覇は、常人ならざる力で斬を引っ張った。  トトト  斬は、よろけつつ引き寄せられた。 「な、何を」 「この人が、私たちを人なのよ」  棺の前に跪いた明日覇は、報告するように言ったのち、ガラスの棺に覆いかぶさった。 「オレが、終わらせる……?」 「ええ。明日那や木偶たちを殺せるのは、同じ血を持った私か、火輪剣以外にはないのよ。もちろん、アパッチで粉々になるほどに打ち込めば再生不能にはできるけど」  街中で、そんなことをすれば大勢の死人が出るだろう。 「だから、お願い」    ガッ  明日覇は、さらに斬を引っ張りこんで、無理やり棺の前で膝を折らせた。 「私に、力を貸して!」  いつもは勝気な明日覇の目に、涙が浮かんでいた。  
/305ページ

最初のコメントを投稿しよう!