90人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ
私たちを終わらせる人
明日覇は、ガラスの棺の前に立っていた。
「お父さん。ついに、この人を連れて来たわ」
ぐいっ
明日覇は、常人ならざる力で斬を引っ張った。
トトト
斬は、よろけつつ引き寄せられた。
「な、何を」
「この人が、私たちを終わらせてくれる人なのよ」
棺の前に跪いた明日覇は、報告するように言ったのち、ガラスの棺に覆いかぶさった。
「オレが、終わらせる……?」
「ええ。明日那や木偶たちを殺せるのは、同じ血を持った私か、火輪剣以外にはないのよ。もちろん、アパッチで粉々になるほどに打ち込めば再生不能にはできるけど」
街中で、そんなことをすれば大勢の死人が出るだろう。
「だから、お願い」
ガッ
明日覇は、さらに斬を引っ張りこんで、無理やり棺の前で膝を折らせた。
「私に、力を貸して!」
いつもは勝気な明日覇の目に、涙が浮かんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!