出来損ない

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出来損ない

「くっ……」  明日覇は、右目を斬られていた。  化物の腕がない方が、明日覇の弱点である。  明日那は、それを狙ったのだ。 「あははは、無様ねぇ。私の様に全身が硬質化した鱗なら、そんな風にはならないのにね。出来損ないだから、そうなるのよ」  高らかに笑う明日那に対して、斬は怒りが込み上げて来た。 「出来損ないだって? 誰だって、完璧な人間なんていないだろうが」 「おや? そういえば、弱っちい人間がいたわねえ。善十郎には遠く及ばない弱者が」  手傷を負った明日覇に代わって、斬は前に出た。 「ふざけるな! オレにだって、善十郎の血が流れているんだ。それに、人間は、努力次第で弱点を克服できるんだ!」 「そう。なら、やって御覧なさい」  ひゅっ 「うおっ」  明日那が一瞬近づいたかと思うと、斬の防弾チョッキが真っ二つにされ、下半分がパラりと落ちた。 (何てヤツだ。こんなの、本当に勝てるのかよ)  だが、何とか勝機を見出さなければ、今度こそ本当に命がない。
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