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二人同時に
「明日覇……。君が言うように、オレでは明日那に勝てない。だけど、前に君が言っていたように、二人なら何とかなると思う」
「……今頃分かったの」
明日覇は、右瞼から流れる血をぐいと拭った。
「そ、そうだね。だから、二人同時に掛ろう」
「私に考えがあるわ」
明日覇が、斬に耳打ちをした。
「そ、そんな……。下手したら、君まで」
「でも、それ以外に方法はないわ。それに、私は姉と刺し違える覚悟よ」
斬は迷った。
明日覇の言う通りにすれば、明日覇さえも傷つける可能性が高い。
「私たち爬虫人には、鱗のない場所が、いくつかあるの」
斬は、明日那が遊撃個体の首を飛ばした時のことを思い出した。
爬虫人には、弱点が、ある。
だが、通常の攻撃方法では、明日那に近寄ることはできない。
「だから、足止めをするってことか」
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