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明日那の最期
「くっ、離せ、離せ雑魚!」
「離さないわ、絶対に! 生まれる時も、死ぬ時も。私たちは一緒よ!」
明日那は全身の力を振り絞って明日覇を振りほどこうとした。
だが、明日覇はそれを上回る力で締め上げていた。
その時。
ズバッ
「ぎゃああああああああああああああ」
明日那の股下から抜き上げられた火輪刀が、その黄金の体を鱗を跳ね上げながら斬り裂いた。
「止めだ、明日那っ!」
斬は、空中で刀を返し、明日那の肩口から一気に切り下げた。
ぼうっ
そして、その猛烈な気合いと跳躍、それに落下の速度が加わって、火輪刀が強烈な炎をあげて燃え上がった。
「や、やった、できた!」
「うがあああ」
その炎は、明日那の体の切断面から燃え移り、たちまちその体は炎に包まれた。
「斬、出来たじゃない!」
「あ、明日覇!」
が、ふと明日覇の足元を見ると、その左腕が斬り落とされていた。
「お、お前っ!」
「ええ。一緒に斬ってもらったわ。あの時の約束、果たしてもらったわね」
斬は思い出した。
この腕を斬ってくれ。さもなくば、殺せという、明日覇の言葉を。
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