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先ずは髪が艶やかな黒髪になり、顔の血色が良くなり肌に艶がまして中年から、ワイルド系の浅黒い肌のイケメンになった。
そして神桃を一口食べた瞬間に目がカッと見開き、むしゃぶり付くように神桃を食べて、あっと言う間に神桃を平らげ残った汁をペロペロと舐めるような始末だ。
先程まで、あぁコイツは死ぬなぁと思ってた所からの劇的ビフォーアフターだ。
「し、師匠?」
少年の問い掛けに師匠と呼ばれた男は漸く気づく。
「む、魏延か?たいそう上手い桃をありがとうな。何だか若返った気分だ」
元中年はカラカラと笑うと俺に気づいた。
「む、どうやら貴殿が桃を某にくれたのですな?丁度、水が欲しかった所に桃の施し、この黄忠、感謝致しますぞ」
oh…まじか、狙って居た黄忠さんにピンポイントで接触出来るとか運が良いと言うか、悪いと言うか…
「ああ~桃はな、この魏延と呼ばれる少年が俺の手から勝手に取って黄忠殿に与えたのだ」
それを聞いた黄忠はいきなり魏延を殴り飛ばす。
「この馬鹿弟子が!この御方の了解も得ずに勝手な事を!」
俺は慌てて止めに入る。
「まあまあ、黄忠殿。構いませんよ元から黄忠殿に与える積もりだったので、それよりも傷はどうですか?」
そう言われて黄忠は己の身体をあちこち触る。
「おお!山賊共に追わされた傷が治っている!」
喜んで居る黄忠だが、此処でハタと気づく。
「心なしか若返って居るような気がしますぞ?」
うん間違いなく若返って居るね、流石にそれは言えないよ。
「それに桃を食べただけで傷が癒える等、聞いた事ありませんな」
「それはちょっと特殊な桃でしてね、たまたま仙人の弟子になった時にくれたんですよ」
「何と…そのような貴重な物を…」
仙人の弟子になった所は気にしないのね。
此処で黄忠は言う。
「何とか礼をしたい所ですか、某は只野殿の所へ向かう所。
礼は後日と言う事で宜しいですか?」
「俺がその只野だけど」
「えっ!?」
「うん?」
何このやり取り、俺はゴホンと咳を出して答える。
「あの、俺に何用でしょうか?」
黄忠は答える、黄忠の話はこうだ。
最初こそは宦官に尻尾を振る、とんでもない奴だと。
しかし、黄巾の乱が終わり俺が襄陽に来てからは話が変わる。
汚職まみれの役人を一掃し、これまで高かった税率を軽減し、更には内政によって国を富ませ。
実力の有る者達は貴賤の分け隔て無く、重く持ち要り序列等を付けずに新しく只野軍に入った者でも要職の付け見事に国をまとめて居る所だ。
ならば自分もと思い弟子の魏延を連れて襄陽に向かう筈が、近くの村に立ち寄った時に山賊の話を聞いて、修行した己の武を示す為に単身、山賊退治に赴いて見たらかなりの数が居て全滅させたのは良いが多くの傷を負い、意識が朦朧としてる所に俺と許チョの一向がやって来たと言う訳だ。
「この黄忠、只野様に命を助けられたのは天命かと思いまする。
天が只野様に仕えよと言って居るのを今、確信しました。
どうか只野軍の末席に加えて下され」
そういうと黄忠は頭を深々と下げて来た。
こう言うのを棚ぼたと言えば良いのかな?
まさか黄忠が自ら士官を求めて来るとは思いもしなかった。
「黄忠、宜しく頼む」
「はっ!全身全霊でお仕えします。つきましてはこの魏延も殿のお側で仕えさせて下さい。
この者、中々の武の才を持ち現在、鍛えておる所です。
もう数年もすれば立派な若武者へと鍛え上げます」
黄忠はそう言って魏延を進めて来る。
「此方こそ宜しく頼む」
俺は魏延に頭を下げると、魏延は慌てて俺を止める。
「や、止めて下さい!それよりも僕も只野様の軍の幕下に加えて頂けるのですか?」
魏延の頭をクシャクシャと撫でる。
「数年は勉強と訓練だぞ?覚悟は良いか?」
「は、はい!」
うむうむ、真っ直ぐな眼だな。
反骨の何たらとか言ってたが孔明より、劉備の人を見る目は確か何だよな。
魏延君にはこのまま素直に育って貰おう。
黄忠と未来の武将魏延をゲットして俺達は長沙に向かう、長沙をゲットしないとね。
取り敢えずは荊州を俺の支配下に治めた。
後はジリジリと力を付けつつ、蜀の地を狙うか。
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