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それは、とある年の秋の終わりだった。
「……寒い、寒すぎる……」
もうすぐ冬だ。この頃やけに冷えてきた。寒いのが苦手な俺には苦でしかない。
……はぁ、熊やらなんやらみたいに人間も冬眠が出来ればいいのにな……
なんて、馬鹿なことを考えながら歩いていたら、
ドンッ……!!
と、鈍い音をたてて、何かが俺にぶつかった。
「……いてて…………ごめんなさぁい……」
小さな女の子が腕を痛そうに擦りながら俺に謝ってきた。
……ぶつかったのはこいつか……
俺は小さい子があまり好きではなかった。理由は何をしたいのか分からないからだ。
今みたいにぶつかってきたのもきっと、走り回って不注意でぶつかったのだろう。
……まぁ、馬鹿なことを考えてぼーっとしていた俺が言えることでもないがな……
でも、こういうことがある度に苛つく俺は、ほんとうに嫌な人間なんだろう。
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