18人が本棚に入れています
本棚に追加
“非通知設定ということは知らない奴。”
そう脳内変換されたのだろうか?とにかく俺はムカついた。だって、なんたって……
なんで俺がせっかくこたつで温まろうとしていたのに電話なんかかけてくるんだよっ!!
そんなくだらない理由で俺はキレた。そして八つ当たりのようにその電話に出てしまった……
「もしもし!? 誰なんだよ!!」
すると、相手は驚いたのか少し間をあけて返事をした。
「ひぇっ!? えっと……、あ、もしもし……? あの、えっと、堂本さんですか……?」
案の定怯えられた。そりゃそうだよな。電話かけて、でたと思ったらいきなり怒鳴られたらそりゃそうなるよな。ここでまた疑問が生まれる。……なんでこいつ、俺の名前を知ってるんだ……?
「お前がまず名乗れ!」
……本当に俺って短気だよな……
多分俺は言葉にしてから後悔するタイプの人間である。
この短気を直さなければ会社ではきっと敬遠されっぱなしになるのだろう。
そんなことを考えているうちに電話の相手は返事をしてきた。
「えっと……やっぱり覚えてないんですね……水野です。水野 悠」
みずの ゆう……? 誰だ?
「……すまない、誰なんだ? 聞いたことない名前だと思うんだが……」
「…………そ、そうですよね、いきなりすみません、失礼しました……」
プーップーップー………
……電話は切れていた。水野、だっけか? 俺は聞いた事のない、知らない名前だった。でも……相手の水野とやらは俺の事を知っているようだった。何故だか分からないが、嘘という感じはしなかった……
本当に俺が忘れているだけなのだろうか……?
…………駄目だ、思い出そうとしても思い出せない。
とりあえず水野 悠。この名前は覚えておこう。
最初のコメントを投稿しよう!