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「…………ん?」
俺は目を覚ました。本日二度目のお目覚めだ。二度寝……か。そうしたら時間って結構やばいんじゃ……
顔から血の気が引いていくというのはまさにこういうことを言うのか、と痛感する。
ぎこちない動きで時計を見る。
九時五十七分。
「…………あ…………や、やばい……。やばいやばい!!」
思わず大声で叫ぶ。急いで会社に行く用意したってもう遅い。何せ今はもう、とっくに会社に着いてないと行けない時間なのだから。
あぁっ! 俺ってどうしてこうも甘ったれているんだ!! 二度寝なんてしちまってよ……!!
…………後でこたつをしまおう…………だいたいこのこたつのせいで俺は二度寝したんだ。そうだ、全てこのこたつのせいだ……
まさに責任転換というやつだ。
そんなこんなで適当に準備をした結果出来上がったのは、見た目も中身も格好の悪い社会人、という訳だ。……髪の毛には寝癖もついてて、更にはネクタイとスーツの色の組み合わせも滅茶苦茶ときた。おまけに遅刻の理由をこたつのせいにする。そんなやつが住宅街の道を全速力で走っている。
……こたつの件はバレはしないだろうが……これは……、この格好は……何も知らない人から見たらただの変人だな……
そうして俺は、苦笑いすらできないような自分の格好を嘲ながら駅まで全速力するのであった。
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