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その場に一人残された俺は、念のためにもう三回ほど自分のタイム・カードに退勤記録がされたかどうかを確認した。それから事務所を出ると、二人の姿はすでに無かった。
俺は一人寂しく自分の自転車が停めてある駐輪場へとゆっくり歩を進めた。
春先で日昇時間が早くなってはいるものの、外はまだ暗闇が支配している。経費削減のためにこの時間帯の駐車場の照明は全て落とされている。そのため辺りは光の無い世界だ。
そんな中、にわかに雨が降ってきたようだ。天気予報は連日晴れになっているはずなのに。心なしか寂しい気分に苛まれてしまう。
俺はただ微かな月明かりを頼りに、急ぎ足で駐輪場を目指した。その時、ただ暗闇と虚しさだけが俺の心を支配した。
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