3.脅威! 影からの刺客!

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 帰宅後、リュック・サックに入れている物を一つ一つ確認しながら、それらを全てゆっくりと取り出していく。  今の会社に入社し勤務して以来十三年間、それは毎日自宅に戻ってからの俺のルーティンになっている。  まだ静けさの残る夜明け前、四畳半の広さの俺の部屋でそれはひっそりと行われる。  まずはハンド・タオルだ。これは汗を拭うのはもちろんのこと、雨の日の通勤で濡れてしまった顔や体を拭くための役割も果たす。一度でも使用したら必ず交換している。  次にレイン・スーツの上下セット。意外にもこの二つ一組のセットがわりとスペースを食ってしまう。その上雨に濡れれば当然に干さなければならないし、大体半年ぐらい使用すれば、どこかしらが破れて使い物にならなくなってしまう。最も手の掛かるアイテムである。  その次に筆記用具が入っているペン・ケース。これに関しては一つのこだわりがある。書類を持ち運ぶための目的も兼ねて、A4サイズのプラスチックの箱の書類入れを使用している。  そして最後に、以前会社にいた先輩が作業で使用していた安全靴。持ち主の先輩が会社を辞める際、最後の日にこれはその彼から預かった物である。  「後日取りに来るから一旦預かっててくれ」と先輩に頼まれてから、その日以来ずっと毎日通勤の際には持ち運んでいる。  会社の工場建屋で保管する場所は自分のロッカーの中以外には無いし、万が一にも靴を紛失してしまったら先輩に迷惑が掛かってしまう。  それ故に、俺は先輩の安全靴を勤務時間帯は鍵を施錠してロッカーの中に保管し、勤務以外の時間帯は自宅で保管するために必ず靴をリュック・サックに入れて持ち帰っている。
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