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やっぱり一緒に居たいって。
いきなりあんなこと言って、咲楽はどう思ったのかなぁ。嫌いになっちゃったかなぁ。そうなら、嫌だな。
そんなことを考えていると、不思議と涙が零れ落ちた。何度も経験している別れ。もう慣れてもいいはずなのに、ボクはまだこの悲しみに慣れることはできない。その前までの生活が楽しすぎて、その後がよけい寂しく感じるから。
「ぐすっ……うぅ……。ひぐっ……」
声をあげて泣く。抑えられない。咲楽に会いたい、会いたい、会いたい!
「奏楽!」
突然声が聞こえた。開けようとしていないはずなのに、社は開いている。どうして入ってこれたんだろう?
「どう、して……ここ、に……?」
「開けれたら入ちゃうよ。ねえ奏楽、どうしてあんなこと言ったの?私、寂しかったよ?なんで?」
「だってこれ以上一緒に居たら、辛くなるって、寂しくなるって、分かってるから」
咲楽はその意味が分かったようで、ボクのことを悲しい目で見てる。
すると、咲楽は意を決したように、ボクに優しく、優しく言った。
「奏楽は神様っていうことから、寂しいこと、辛いこと、いっぱいあったのかもしれない。そのことを、分かったよ、なんて安っぽい言葉で返すこともできない」
咲楽の声が優しくて、ボクはまた涙が溢れてくる。さっき社が開いたのも、きっと心が咲楽を呼んでたんだな、って思う。そんなボクの様子を見ながら、また優しく微笑んで、咲楽は続ける。
「でもね、私は奏楽と一緒に居たいな、って思ってる。無理強いはできないけど、私はそう思ってる。最後には、奏楽に寂しい思いをさせてしまうのかもしれない。ただ、それでも私は一緒がいい。私のわがままかもしれないけど、困らせちゃうかもしれないけど、一緒に、いてくれませんか?」
また悲しい思いをするのはわかってる。でも、きっとボクはこんな素敵でうれしい出会いをしたいから、何度も何度も外へ出るんだなって思う。悲しくても、その前のこんな出会いに、ボクは虜になってる。
いつか別れるけど、それまでは──。
「一緒に、いさせてください」
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