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嫌になって遠ざけても、
咲楽がここに通うことが日課になって、3年ほどたったある日。ボクは知る。咲楽のが学校での扱いを。
咲楽の声が聞こえて行ってみると、神社の前でいじめられていた。
「咲楽!」
「奏楽……」
ボクは他の人に見えるようにするのを忘れていた。いじめていた一人が気味悪そうにする。
「気持ち悪っ。いつも何、奏楽って。そんなのいないじゃん」
「え、いるよ。ここに」
咲楽はボクのことを指さす。でも、咲楽以外には見えない。
「気味悪いわ。もういい、行こ」
「見えない?奏楽って人間じゃ……」
咲楽は会った日の事を思い出していた。
怪我していた私を治してくれた不思議な力。あんなのできるのに人間なわけない。
「ねえ、奏楽って人間じゃないの?」
今思えば全部不思議だった。でも、人間じゃないのなら、なに?
「うん、ボクは人間じゃない」
「じゃあ、なに?」
「ここの、神」
「え、か、かかかかかみさま!?ほ、ほんと?」
「うん。ほんと」
「私ごとき人間が神様と友達なんて……」
「私ごとき人間て。あはは、面白いこと言うね」
「面白いどころじゃないよ!ほんとに神様っていたんだ……」
「うん。でも、秘密ね。それと──」
言いたくない。言いたくないけど、これが一番いいやり方。一番いいこと。これ以上は、ボクが辛い。
「それと?」
咲楽が首をかしげてる。この顔も、ボクには毒だ。
ボクは意を決して言い放つ。
「ボクと、もうかかわらないで!」
その後、ボクは社の中に入った。ここには、誰も絶対に入ってこれない。ボクが許さない限り。
咲楽はしばらくそこで呆けているようだったが、その後泣きながら帰っていった。
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