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第一の光
ふと夜中に目を覚ますと、部屋の様子がいつもとは違っていた。
ストライプの白い線が何本も、窓を中心にして天井を扇形に走っているのだ。
ここの天井は、こういう模様だったっけな。
まだ半分眠った頭でぼんやりと考えた彼は、その扇形の白い線がカーテンの隙間から伸びていることに気づく。
それは模様などではなく、窓の外から差し込む光だった。
どうやら外の光がカーテンと窓ガラスの間から漏れているようだ。その長い光の線のために、部屋の中も仄かに明るい。
朝の光は同じ位置から天井に差し込んでくるが、全く様子が違っている。
朝日は、こんなに長く明るいストライプにはならなかった。別の何かの光だ。
彼は、ゆっくりと起き上がる。
相変わらず、体は酷くだるい。そのことを思い出して、彼はまたベッドに力なく倒れ込んでしまう。
だめだな。しかし、取りあえず、この光の原因を確認しなければ。
彼は再び肘をついて起き上がり、ふらつきながらベッドの横に立った。
もう晩秋ともなれば、フローリングの床の冷たさが足の裏から必要以上に浸透してくる。
サイドテーブルの上に置いてある目覚まし時計は、二時半少し前を示していた。彼の妻が選んだ、見やすさよりもデザイン重視の時計なのだが、謎の光のおかげで、すぐに時間がわかった。
いわゆる丑三つ時。こんな時間に何だろう。
車のライトか、外で工事でもやっていて、その光なのか。
何にしろ迷惑な話だ。
彼はカーテンの端をそっとめくってみる。
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