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外は白い光で溢れていた。目が痛くなるくらいに眩しい。
これは一体何の光だ?
彼は顔をしかめ、さらにカーテンを開けて外を眺めた。
ベッド横の壁が光に照らされ、彼の影が長く伸びる。
彼の住むマンションは、長く伸びた造りの二階建てで、一階の部屋の前には、この規模の建物には珍しく、広い庭があった。
ベランダはなく、中途半端な仕切り板が並んでいるだけ。
掃き出し窓から庭に出て、くるりと振り返れば、それぞれの部屋の中はカーテンが閉めていないと丸見えになる。
つまり庭に数歩出ると、ほかの部屋の住人の姿が見えるというシュールなことが起こってしまう。
女性であれば一階は躊躇しそうな部屋なのだが、男性であり、それなりに年齢を重ねてきた彼は余り気にならなかった。共有とはいえ、庭があると、やはり和む。
単身赴任という気軽さに加え、値段も予算内ということもあって、彼はすぐにその部屋を契約してしまった。学生が多く住んでいるということも、何ら問題はなかった。
庭には背の高い木が何本かと花をつける低木が複数植えられていて、年に何度か、業者が剪定に来るという話だった。
マンションのオーナーも、たまに平日の朝なんかに庭を箒で掃いていることもある。
ところが今、オーナー自慢のその庭には、白い光が塗料を丁寧にぶちまけたように濃く張りついていた。
木々の葉も枝も、その向こうにあるコンクリートの塀も、全部同じべったりとした白色だ。
そして、同じ白色の光に塗られた地面に、その銀色のものは光を放ちながら突き刺さっていた。
アーモンドをもう少し丸くして、ぷっくりとさせたような形。
側面には小さな丸い窓のようなものが横一列に並び、アーモンド形の真ん中あたりには、半透明のドームのようなものも見える。
それが少し斜めになって、三分の一くらい庭にめり込んでいるのだ。
カーテンの隙間から差し込んでいたのは、その不思議な物体が放つ光だった。
「UFOだ……」
彼は呟いた。
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