1-2.胸ノ高鳴リ

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胸の鼓動が早くなる。 まるで下り坂を転がる車輪の様に。 まるで蝉時雨に追い立てられる様に。 このドキドキはどっちなんだろうか? もうすぐミチルに逢えるという胸の高鳴り? それとも、不思議な街に彷徨(さまよ)い込んだ本能の警鐘? きっと、その両方だ。 ミチルは、僕の初恋の相手だ。 天真爛漫で、でもたまに魅せる表情に心臓を掴まれた。 だけど、僕は告白できなかったし、これからもすることはないと想う。 だって、僕には分かるんだ。 ツヨシもミチルが好きだってことが。 そして、ミチルもツヨシが好きだってことが。
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