1-2.胸ノ高鳴リ

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『藤田』と名乗った執事さんに促されて、を潜った。 「馬車を待たせております。ささ、早く」 「キョー、馬車だってよ。すげぇ風情(ふぜい)あるなぁ!」 確かに観光地によっては、馬車とか人力車とかあるけど、ネットでそんな情報なかったぞ。 しかも、この扉って、皇室専用の扉じゃなかったっけ? 明治時代は、貴族(華族)も使っていたのかも知れないけど。 「我が(あるじ)は、地元の名士ですからな。許可は得ております故」 僕の心配を見透かすように藤田さんは言った。 でも、令和時代に馬車だなんて。 気付いたら、周りに地元の人や観光客の気配がしなくなっていた。
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