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『藤田』と名乗った執事さんに促されて、木製の扉を潜った。
「馬車を待たせております。ささ、早く」
「キョー、馬車だってよ。すげぇ風情あるなぁ!」
確かに観光地によっては、馬車とか人力車とかあるけど、ネットでそんな情報なかったぞ。
しかも、この扉って、皇室専用の扉じゃなかったっけ?
明治時代は、貴族(華族)も使っていたのかも知れないけど。
「我が主は、地元の名士ですからな。許可は得ております故」
僕の心配を見透かすように藤田さんは言った。
でも、令和時代に馬車だなんて。
気付いたら、周りに地元の人や観光客の気配がしなくなっていた。
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