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扉の向こうで待機していたのは、木製の大きな馬車ではなく、幌付きのオープンカーの様な馬車だった。
アールが付いたステップに足を乗せ、革張りのシートに並んで座る。
藤田さんは、馬を繋いでいたロープを外すと、ひらりと御者台に乗り込んだ。
どうやら、藤田さんは執事ではなく、御者さんらしい。
「はいっ!」
藤田さんの掛け声で、馬車は走り出した。
僕達は、さっきまでの宇都宮線シートよりも固い客席の馬車に揺られた。
想った以上に揺れるので、車輪を見てみる。
車輪の外側はゴムではなく、黒塗りだが、硬い木材か鉄製のようだった。
そりゃぁ、ダイレクトに尻に来るわけだ。
路上に目を向けると、道路はアスファルト舗装ではなかった。
大きな道を進んでいるにも関わらず、だ。
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