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 四月とはいえ、夜はまだ肌寒い。  シューと音を立てる加湿器の水蒸気で、窓硝子につく水滴が、ときどきつうっと流れて跡を残す。リビングテーブルに座った優美はその様を、ぼうっと見ていた。  湯を沸かす音に目をやると、台所で母がお茶を()れている。  お茶を()れる母の小さな背中を見て、この家に来るのはいつ以来だろうと、すこし後ろめたい気持ちになった。  白い湯気が立ち昇る緑茶で、ゆっくり喉を潤すと、ようやく優美は、すこし落ち着いて来た。 「優美、ショックだったよね……ごめんね……」 湯呑みに両手を添えながら、母がこう切り出したことで、優美は遙との会話を思い出していた。
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