貴女と私の小さな嘘

6/8

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「どうしたの?ミズキ……私、何か言った?ひょっとして怒ってる?」 一瞬、息を飲んだ後、私は漸くか細い声を 振り絞って聞いた。 知り合ってからの約一年の間、聞いた事もない言葉だし、見た事もない態度だった。 「怒ってる訳じゃないよ、ヒナ。ヒナには素敵なアオハルしてほしいな……ってね」 ミズキはニッコリとした笑顔で、少し小首を傾げて答える。 でも、私には分かる。ミズキの笑顔は無理に作っているものだと。「ミズキの本当の気持ちじゃないでしょ?」そう言おうと口を開こうとした時、ミズキは言葉を続けた。 「私も決めたから……クラス委員長の彼と付き合ってみる……ヒナにも迷惑掛けたくないし」 「ちょ、ちょっと待ってよ。私、別に迷惑なんて思ってないよ」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加