貴女と私の小さな嘘

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卒業後は、何回かメールや電話でのやり取りをしたが、お互いから「会おう」という言葉が出る事はなかった。 私は卒業から半年後、幼馴染み君とは別れた。彼が大学のサークルで新しい彼女を作ったからだ。私はその事実を前にしても、別に悲しくはなかった。むしろ、「この辺が潮時かな」くらいの、何処か他人事のように受け止めていた。 かつてのクラスメイトから聞いた話しでは、ミズキもイケメンクラス委員長と別れたそうだ。 そして、ミズキは留学のため旅立って行った。 あれから十年、今、私の隣にはミズキがいる。 昔なら、単純でごく当たり前のその事実が、私の胸の一番奥にあるもの優しく包んでいた。
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