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「あ、ミズキ、もうすぐ着くよ」
「あ、ああ、そう。ここ来るの十年振りなんだね……」
車中では、二人の出合いから卒業まで過ごした一年の話しをしたが、いつの間にか二人の会話は途切れがちになった。
お互いに言わないが、最後の別れた時の記憶がそうさせているのは分かっていた。
会場に向かう途中、とりとめない会話の合間を繋ぐ沈黙が、あの日以来の二人の距離を物語っている。
タイムカプセル発掘イベント会場は、百名ほどの参加者と主催者、それに地元の地方局の関係者などで賑わっていた。
私達は受付を済ませると、参加者の待機するテントへと案内された。
周囲からは、これから発掘されるタイムカプセルについての話し声が耳に入ってくる。
「私さぁ、小学生の頃に好きだった男の子に手紙書いたんだよね」
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