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「ミズキ……ミズキ分かってないよ。何にも分かってないじゃない!私……ミズキの未来を壊してしまうと思うと怖いの。でも、ミズキと離れるのはもっと怖い。私を……一人にしないで……しないでよ。ミズキ」
涙が頬を伝わるのが分かる。言葉の最後は嗚咽になっていた。
ミズキは、運転席の私を引き寄せ、泣き顔の私にゆっくりと自分の顔を重ねた。
私の鼻孔をミズキのフレグランスが擽る。
私は、あの夢のように目蓋を静かに閉じた。
私の唇にミズキの柔らかい唇が重なる。
それは、数瞬のはずだったが永く永く感じられた。
私達にとって初めての、その行為の後、唇が触れるほどの間で、私はミズキを見詰める。
「ミズキ……私も……ミズキの事、好き。だから、離さないで。一人に……しないで」
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