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ピピピピッピ………
スマホの目覚ましが私を眠りから呼び覚ます。
私はそっと目蓋を開く。
五月の柔らかい陽射しが、部屋に射し込む。
また、夢を見たんだ……
でも、今はあの夢の後とは違う。
私の横には、穏やかな寝顔のミズキがいる。
「ん、ん……うん……」目を覚ましたミズキがその綺麗な瞳を私に向ける。
「……おはよ。ミズキ」
あれから幾つもの夜を一緒に過ごしたのに、私は今でもミズキに見詰められると、ドキドキする。それを隠すことは出来ず、私ははにかむ。
「……うん。おはよ、ヒナ」
ミズキは寝顔を見られて、照れた様に微笑みながら返す。
新緑の季節の朝、あの空白を超えて私達の物語が始まろうとしていた……
完
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