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「私、水城よろしくね」
彼女はぎこちない笑みを浮かべて答えた。
「同じ名前?」
私は口角を上げニンマリと笑って言った。
「違うよ。水城は名字。私ね、水城妃南って言うの。何かややこしいからヒナって呼んでね」
そんな会話から私達の関係は始まった。それから十年以上が経っている。
今日は高校卒業の前に、地域のイベントで埋めたタイムカプセルを発掘する日だ。
高校卒業と同時に私達は、別々の道を進んだ。彼女は大学に進学した後、海外の大学に留学し、そのまま地元の企業に就職した。
その後彼女は、一度も帰国していないと聞いた。今回のタイムカプセルイベントを機会に一度帰って来て会わない?と彼女の母から教えてもらったアドレスにメールを送ったところ、彼女から返信があった。
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