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文字通り門前払いをくらった私は仕方なく次の目的地へと足を運ぶ。といってもここは大洗。こじんまりとした港町だが、観光スポットがコンパクトに纏まっているため数分かからずに次の目的地に到着する。
話しは逸れるが、ここ大洗町はアニメ『ガールズ&パンツァー』(以下ガルパン)の舞台となった場所である。あらすじはここでは控えるが、2012年に放送されたこのスポ根アニメは瞬く間に大ヒットし、ロケ地である大洗は聖地と昇格され来訪者が急増したのだそうだ。
それまでは鮟鱇鍋が美味い街という位しか認識が無かったのだが、アニメ効果により一大観光スポットへと変貌を遂げたのだった。
平日であるにも関わらず、男女問わず多くの観光客やアニメファンで賑わう中、私は彼らと交流を交わすこともせず、目的の地『神磯の鳥居』へ歩を進める。
荒々しい波が押し寄せる中、不思議な形をした岩礁の上に凛としてそびえ立つ、白い鳥居。自然と人間の共作である和の美に、多くのカメラマンが最高の一枚を夢見てシャッターを構えていた。
残念ながらこの日は潮があまり高くなく、神々しさは息を潜め、何とも寂しく荒々しい景色となっていた。だが、静かな時間が流れる聖域は近くにいるだけでも心が洗われる。水曜の港町は市場が休みのためか休業する店が多く、いつもの活気の声が無くただ波が強く打ち付ける音だけが響き渡っていた。
背後には大きな鳥居と大洗磯前神社がある。国造りの神である大己貴命(いわゆる大黒様)と豊穣の神、少彦名命が御神体として祀られており、県の文化財に指定される程の由緒正しき神社である。その二神が海から降臨したのがこの大洗の地だったため、海の中に鳥居が作られたとのことである。何とも霊験あらかたな神社である。
その厳格な佇まいの神社も今やアニメ効果により、ガルパン一色に染まりつつあった。社殿こそ昔の赴きが残っているものの、境内には大きなガルパン宣伝用の絵馬型の看板が立てられており、絵馬もアニメのキャラが自筆で描かれた物が、その重さで掛所が倒れるのではないかと思う程、大量の『痛絵馬』が掛けられていた。
というか、皆して絵が上手すぎである。
こういう物は予め描いてきた物を持ってくるのだろうか? それとも即興でここまでのクオリティに仕上げれる程、アニメオタクは元来絵が上手いのだろうか?
いずれにしても掛所が二ヶ所、その内四面に分けられた一区画だけでもこの量である。オタクの底力、恐るべし。
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