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その深い牢屋はもちろん出口が上についている。監視役が1人少年の上を飛びながら見張っている。
どうやら少女だ。
例の少年の手足には鎖が巻き付いていた。しかも重り付きだ。
少年は少しくせっ毛の肩まで伸びた髪。服はボロホロ、肌もどっちかと言ったら黒いほうだ。でも少年の瞳はとても綺麗なブルーだった。
少年がそこから出されるのは週に一回。
身体に異変がないかなど調べる。
少年は片方しか翼がない。あるにはあるが、片方は小さな翼。そしてもう片方はもぎ取られたような痛々しい翼。
この調べには翼の変化を一番重視しているようだ。
少年を牢屋から出す時は監視役の少女が引き上げる。その少女はピンクのショートヘアーで何やら紺色の制服と思われる物を着ている。しかしスカートではない。所々白でマークやら文字やらが縫ってある。首には牢屋の鍵がぶら下がっている。
でも少年は一度も少女から鍵を奪ったことがない。
少年は今静かに眠っている。真っ暗な牢屋の中で。
それでも少年の身体はほのかな光を放っていた。
まるで希望の光のように・・・
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