11人が本棚に入れています
本棚に追加
少年は朝目が覚めた。
・・・と言っても真っ暗なため朝も昼も夜も関係ない。
少年はその場に座り片目をこすった。欠伸でもしたのか綺麗な瞳に涙が溜まっている。
監視役の少女はいつも思っていた。
『こんな暗い所に生まれてからずっと閉じ込められているのに何故“出たい”の一言も言わないのか』と・・・
しかも少年の瞳はいつもキラキラ輝いていた。恐怖や寂しさ、悲しさの影もなく。
「おはよう。監視役さん」
少年には名前がない。
少女にも名前は与えられていない。ただの“監視役”として一生過ごすのだから。
少女は少年と話をしようとしない。ただ
「おはよう」
って挨拶を返してくれるだけ。
それでも少年は満足していた。
最初のコメントを投稿しよう!