少年のいる世界

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少年は朝目が覚めた。 ・・・と言っても真っ暗なため朝も昼も夜も関係ない。 少年はその場に座り片目をこすった。欠伸でもしたのか綺麗な瞳に涙が溜まっている。 監視役の少女はいつも思っていた。 『こんな暗い所に生まれてからずっと閉じ込められているのに何故“出たい”の一言も言わないのか』と・・・ しかも少年の瞳はいつもキラキラ輝いていた。恐怖や寂しさ、悲しさの影もなく。 「おはよう。監視役さん」 少年には名前がない。 少女にも名前は与えられていない。ただの“監視役”として一生過ごすのだから。 少女は少年と話をしようとしない。ただ 「おはよう」 って挨拶を返してくれるだけ。 それでも少年は満足していた。
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