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それから少年を監視し続けて2年がたった。
相変わらず挨拶しか交わさない二人。
そろそろ少女の限界だった。
普段なら絶対少年の元へ降りてこない少女だったが、フワリと舞い降りた。
「どうしたの?監視役さん」
少女は少年の隣にちょこんとしゃがんだ。
「私があなたをここから出してあげる」
その一言に少年は驚き、そして微笑んだ。
「そんなことしたら監視役さんが大変なことになるでしょ?」
少女は少し唇を噛んで、それから口を開いた。
「自由に・・・なりたくないの?私はここにいたくないよ。でもあなたの瞳は澄んでて、どうしても幸せを願ってしまうの。私なら気にしないで?」
そう言った少女に少年は背中を向けた。
そこには痛々しい翼。片方だけがむしりとられてる。
それでも小さいけれどちゃんと生えている。
この翼はずっと変わらない。
変化がない。
「一枚羽をあげる」
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