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少女は驚いた。
もう痛々しいその翼から羽を抜き取るなんて出来っこないから。
そんな少女の気持ちを察したのか少年は
「いいから」
と答えた。
少女は意を決して一枚羽を抜き取った。
その羽は温かい光を放っていた。
「時を待ってる」
少年はそんなことを口にした。
「その時に僕を自由にしてくれる?」
何とも言えない少年の表情にただただ頷くだけだった。
それから少女は何もなかったかのようにフワリと舞い上がり監視を続けた。
胸のポケットにしまった羽がとても心地よく感じた。
そして月日は巡り、春、夏、秋、冬と過ぎていった。
そんなある日のこと・・・
「監視役さん」
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