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菜月はわかっている。この世界は死にたがりにとっては酷く生きにくい世界なのだと。かれこれ10年ほど彼女は死にたがりとしてこの不自由な社会を満喫していたが、ついに限界を感じてしまい今日に至る。
繊細な彼女には少しの失敗で味わう絶望感のウェイトが大きい。他の誰もが気にならないほどの失敗を何度も何度も悔いてしまう。
菜月には好きな人ーーつまりクラスメイトの田中君が居り、彼とは比較的、いやかなりうまくいっている。しかし、それにも関わらずうまくいかなかった時のことを考えて胸が苦しくて仕方がないのだ。
“私を好きなような素振りを見せる彼がもしも彼が心変わりしてしまったら? もしも私が彼を愛せなくなってしまったら? 綺麗な想いが濁ってしまうのが耐えられない!”
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