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(落ち着いて。どうにかして後宮を出てお父様を説得する方法を考えないと)
筆を握っていた手が止まる。
なにせ、前世ではできることが非常に限られていた。
ゲームが始まってからのことなら、記憶にあるけれど、始まる前の時代のことなんて、ゲーム内で語られていたことしかわからない。
年表が公開されていたわけでもないし……。
(うん、私が知っている歴史を書いてみよう)
現在の皇帝が即位したのは、三年前。それと同時に元号が、『天元』と改められた。即位の祝いの時、父ががっぽり儲けたのはまた別の話だ。
隣国太国とは、非常に良好な仲。
崔国が滅びた時、姿を変えて身を隠した文浩を受け入れてくれたのは、太国の王太子だ。そう言えば、彼も攻略対象キャラの一人だった。
(林愛謝って、それを考えたらずいぶんモテモテ……というかヒロインなんだから当然か)
ゲームヒロインには林愛謝というデフォルト名が与えられていた。翠珠はそのままプレイしていたから、翠珠の知っているヒロインは愛謝という名前だ。
亡国の皇帝に協力して国を再興したり、一国の王太子と恋に落ちたり――他の国の皇后を目指すというルートもあった。
その国で後宮入りした場合には、他の妃達とのどろどろの寵愛合戦を繰り広げることになる。
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