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第四章――呪術の始まり
十二月八日。
桐葉の言うゲームまで、約三十分。
真樹はこっそりと学校に侵入していた。理科室の窓が開いていたため――おそらく桐葉が開けたのだろう――そこから音もなく忍ぶ。独特の薬品臭がする。脇に立てかけられた人体模型は、今にも動き出しそうで視線から離せない。
空には禍々しいブラッドムーンが、真樹を照らし出している。校舎は月光の効果か赤みを帯びており、どこか薄気味悪い。こんな校舎、見たことなかった。
「まだ誰もいないのかな」
多分福田先生ももう少しで来るだろう。
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