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人影がトシに近づく。僕は地面ギリギリを水平飛行して、肩越しに振り返る。
能天気なトシの声がした。
「ショウさん、しばらく遊んで暮らせるから、わざと捕まりましたよ。あははは」
人間は腕の一部から、強烈で直線状の光を放ったり、消したりできるのだ。トシをムシカゴに静かに入れた。地面に腕を向けてから、人間は輝く光の奔流を消す。
アミの中で、トシが別のホタルに話しかけている。白いアミからは、複数のホタルたちが明滅して、人間の愛おしげな顔をほんのり照らしていた。(完)
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