締結

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********  何とか無事に寄生植物から、ボスの弟分のジムを救うことに成功したことで、私たちとボスが率いる仲間たち。『BADファミリー』と友好関係を結ぶこととなった。 「常に行動を共にすることは出来ないとしても、こうやって友好関係を結ぶことで何かあれば助け合うことが出来るでしょう」 「そうだな! こうやって少しずつ仲間が増えればこの街もいくらか住みやすくなるってもんだ!」  私たちとボスは今回のことで、信頼関係を上手く築くことが出来たようだ。 「こんな街だからな! 少しでも、味方は多いほうが何かと助かるってものさ!」 「そうね。私もそう思う。これから、どんな敵が現れるかもわからないしね」 「それで? チェリーたちは、これからどうするんだ?」 北斗たちとお酒を酌み交わしながら、ボスが私にこれからどうするのかを聞いてきたので、私は北斗と顔を見合わせてからボスの質問に答えた。 「少し、気にかかってることがあるの。この街に子供の能力者を売り買いしている組織があるみたいなんだけど……」 「ああ。知ってる。奴らはこの国の軍の残党だ。役人も居たんじゃねぇかな……この街で一番デカい組織だ」  この間からうやむやにしてきたユーチェンや琥太郎を拉致していた奴らの話をするとボスもその組織のことを知っているようで眉間にシワを寄せて奴らがこの国の軍の残党だということを話してくれていた。 ********  ボスとその組織の話を始めると、北斗が険しい表情で私の手首をつかんでいた。 「まだ諦めていなかったのか!?」 「だって、北斗!! 小さい子供が売り買いされてるんだよ! 放ってなんておけないじゃない!」 「チェリーは、正義感の塊だな!(笑)こりゃ、北斗やリーが苦労するわけだ!」 「BADまでそんな風に言うのね!!」  北斗に掴まれた腕を力一杯振り払って、私は立ち上がって声を大にして思いを語っていた。 「見て見ぬふりは嫌なの!! 助けられるなら助けたい。助けたいの……」 「そりゃわかる。わかるが……奴らは一筋縄じゃ倒せねえし、ガキを助け出すのもこれがまた、なかなか至難の技ってやつなんだぜ!」 「そんなに奴らは手強いの?」 「まぁな、オレたちも奴らとは出来るだけ関わらねえように行動してきた。数が桁違いだし、どんな能力者がいるかわかんねえしな! このまま奴らと対峙するのは無防備過ぎるぜ!」  ボスに奴らの数が多すぎること、どんな能力者がいるかも知らずに対峙することが無防備過ぎることを指摘されて、私は反論出来なかった。 「とにかく、危険過ぎる! 少しずつ相手を探りながらどうするかを考えよう。わかってくれ、チェリー!」 「北斗の言う通りですよ! 私もあれから奴らのことを探っては見たものの……不明瞭なことが多過ぎてなかなか奴らの実態がつかめないでいるんです」 「リーも奴らのことを調べてたの?」 リーの意外な行動に私が驚いていると、リーは優しく私の頭を撫でるとニッコリ微笑んで頷いていた。 ********  「チェリーがあのまま引き下がるとは、思ってなかったのでね。奴らのことは調べていたんです。しかし、ガードが堅くて詳しい実態が浮かんでこないんです」 「だろうな。オレたちも、ずっと奴らのことは調べてはいるんだが未だに実態は掴めちゃいない。わかっているのは、この国の軍の残党ってことさ!」 「軍の残党ってことは、どんな武器を装備しているかわからねえよな!」 いつの間にか、男たちは私をそっちのけにしたまま、その得たいの知れない組織について真剣に話し込んでいた。 「奴らを叩くには、もっと仲間が必要ということだな!」 「そうね。良くわかったわ。もっと、奴らのことも知らないと戦えないものね」 「そういうことだな!(笑)」  私がさっきまでの闘争心を喪失して、その場に座り込むと、リーや北斗にもそのことが伝わったようで、二人は顔を見合わせて安堵して微笑していた。 ********  私たちは、滞在先をあのホテルにすることをボスに告げて外が暗くなる前に倉庫を後にした。 「それで? これからどうするの?」 「今日はホテルに戻ってゆっくり休むことにしようぜ! 後のことは、明日考えることにしてとにかく身体を休めよう!」 「北斗のいう通りにしましょう。ユーチェンたちも休ませてやらないと、ここのところあまり眠れていなかったようですしね」 「うん。わかったわ」  確かに私自身もここのところあまり眠れていなかったから、北斗とリーのいう通りにその夜はとにかく身体を休めるために何も考えないようにして、久しぶりにゆっくりと眠った。 ****  翌朝、私が目を覚ますとすでにアランが起きてどこかへ出かける準備をしていた。 「アラン? 出かけるの?」 「ああ、少し街の奥まで足を伸ばして探りを入れてくるつもりだ。やばくなったら地下へ逃げ込むから大丈夫だ。そんな顔するな!(笑)」 「お願いだから、無茶はしないでね!」  たった一人で街の奥まで様子を探りにアランは行くと言って、笑顔で私に優しくハグをしてから、ホテルを出て行ってしまった。
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