第2話【放置プレイ】

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糞女神に転生させられた俺は見知らぬ草原のド真ん中に全裸で立って居た。 何処を見ても草原である。 遠くに山脈が見えるぐらいだ。 とりあえず、話を整理する。 俺は死んで別世界に転生させられた。 死んだ理由は不明だ。 訊いても無視された。糞女神に……。 この世界がファンタジーの世界だとは聞いている。 そして、俺はチート無双キャラらしい。 チートスキルは、鍛えれば無限に強くなれる(レベルアップする)能力と、わんさかとマジックアイテムを拾える(掘れる)能力だそうな。 いちいち二つ並べて能力名を呼ぶのは面倒臭いから、二つ合わせて【ハクスラスキル】と名付けよう。 ハクスラってのは、ハックアンドスラッシュの略語である。 ゲームの用語だ。 そもそもの意味は、ゲームのストーリー進行よりも、ひたすらレベル上げに専念したり、より良いアイテムを探し(掘り)まくるゲームなどを指す用語である。 だから俺の得たチートスキル二つは、これに合致する。 なので合わせてハクスラスキルと呼ぶことにした。 我ながら良い命名だと思った。 あと、ステータスとかはどうやって見るのだろう。 それも、追々研究しなきゃあならない課題である。 さて、ここからが問題だ。 それでは一つ目の問題を考えよう。 問題とは、ペナルティーだ。 ほぼ呪いだな……。 エロイことをすると死ぬペナルティーってなんだよ! 聞いたことねーよ! じゃあなにか、俺はエロイことをすると死ぬのか! あぁ……、そう言ってるな……。 てっ、ことは! 俺は一生童貞なのか!? それは嫌だ!! 男として産まれたんだ。エロイことの一つぐらいしたいわ! 可愛い女の子とイチャラブしたいわ! せっかくファンタジー世界でチート無双ができるのに、お約束のハーレムを築けないなんて不幸すぎるぞ、俺!! まあ、落ち着け……。 ハーレムなんて如何わしい物は、横に置いておこう。 ペナルティーに関しては、追々解決していけばいい。 二つ目の問題は──、ここ、どこよ!? 草原のド真ん中じゃんか!? 人影一つ見えないし、人工物の一軒も見当たらないじゃんか!? どこに行ったらいいのか、どっちに向かって進めばいいのかも分からないぞ! 明日はどっちだよ! チュートリアルとか、ねーのかよ!? あんだけ説明不足な女神なんだから、チュートリアルぐらい用意しとけや!! なに、これ!? 飛びっきりの糞ゲーかよ!! はあはあ……。 まあ、落ち着こう……。 それと三つ目は、何故に全裸なの、俺!? 初期装備で服ぐらいくれよ! なに、この転生! 罰ゲームか何かかよ! ハクスラスキルを貰っても、だだっ広い草原のド真ん中に全裸で放置されたら困るわ~!! はあはあ……。 落ち着こうと言ってる最中(さなか)に興奮してしまった。 未熟者だな、俺……。 反省、反省……。 あと、四つ目の問題は──、俺、誰? 俺は誰ですか? 過去の記憶どころか、名前すら覚えてないじゃんか。 やばくね、俺? 記憶喪失ってヤツですか? ほぼほぼこれもペナルティーじゃんかよ。 よーし、今度はキレなかったぞ。 俺も成長してるって証拠だな。 まあ、記憶喪失ったって、一生記憶が戻らないとは限らない。 いきなり記憶がすべて戻ったり、徐々に思い出したりといろいろとある記憶障害の病気だ。 もしかしたらその内に思い出すかもしれんしな。 ──に、しても。これからどうなるの、俺? 希望と冒険に溢れた異世界転生のはずが、始まった直後から路頭に迷ってねえか? これもすべて、あの糞女神が適当な仕事をするから悪いんだ。 説明責任ぐらい、ちゃんと果たせや、糞! おっと、また興奮してきたぞ。冷静に、冷静に……。 あの女神のことを考えると、直ぐに興奮してしまう。 エロイ意味で、興奮したんじゃないからな。 てか、言ってて、ついついエロイことを想像してしまったぜ……。 あれ、何だか胸が苦しい。頭が痛いな……。 まさか、これがペナルティーの前兆か……。 こわ……。 それにしても最近の転生物だと、ああいう適当な担当者が多くねえか? 神様とか女神様とか、適当なヤツが多すぎだぞ。 畜生、俺も被害者かよ……。 マジで、これからどうするかな……。 これじゃあ、放置プレイだわ……。 【つづく】
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