第3話【ネーミング】

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とりあえず、一つ疑問が解決した。 ステータスの見かたが分かったぞ。 ただ【ステータス】と呼べば出てくることが判明した。 半透明な画面が目の前に現れる。 その下に、これまた半透明なキーボードが浮かんで見える。 入力は、これでやればいいのだろう。 でも、ステータス画面には、たいした内容は書いていなかった。 名前の欄は空白だし、レベルは1だった。 アイテムスロットの枠が有るが、やはり何も持っていない。 もうしばらくは全裸が続きそうだ。 それと【スキル・魔法】と書かれた枠も有るが、記入されているのは【ハクスラスキル】だけだった。 早くもシステムが空気を読んで、勝手に訳してくれている。 あの糞女神よりも、よっぽど役に立つな、このシステムは。 さて、レベルは1だ。 経験値0と書かれている。 レベルはこれから自分で上げろってことだろうな。 だとすると、無双は程遠い話に成りそうだ。 それと0Gとも書かれている。 文無しってことだろう。 さてさて──。 名前は勝手に付けていいのかな? 悩む……。 もしかしたら、一度決めたら変更できないかも知れない。 おそらく、その可能性が高い。 ここは慎重に決めたほうがいいだろう。 俺は半透明なキーボードに両手を添えながら考えた。 キーボードには成れている。 中学の頃から父のお古なPCで、ネットゲームを遊んでいたから問題はない。 でも、マウスが無いのが、ちょっと不便だと思う。 少し悩んだが、やっと名前が決まる。 この名前に、決まりだ。 【アスラン】 有名な海外の小説から取っている。 ライオンの名前だ。 決してガ○ダムからではない。 俺は、空白の名前の欄に、そう打ち込んだ。 すると頭の中に女性の声が聞こえてきた。 『あなたの名前が決まりました。アスラン様、良い冒険をお楽しみくださいませ』 おお、美人そうな声だな。 あぁ……、なにこれ……。 胸が痛いわ……。 このぐらいも駄目なのかよ……。 ペナルティー、厳しいな……。 しばらく座って休むと苦しさは直ぐに治まる。 これからは煩悩には気を付けなくてはならんな。畜生……。 よし、とりあえずステータスの見かたも分かったし、名前も付けた。 次はどっちに進むかだ。 これによって俺の命運が決まるな。 飯も無い。水も無い。 人間は水が無ければ、三日と持たないで死んでしまうみたいなことを聞いたことがある。 タイムリミットは三日か──。 それまでに水辺か人里を見付けなくてはならない。 とりあえす歩こう。 山とは反対側に進めば海に出るかも知れない。 浜辺に出れれば、少しは希望が有るかもしれないからな。 なんの根拠も無いけれど──。 兎に角、歩くんだ、俺。 【つづく】
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