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俺と凶介が金脈捜索から帰って来たのは昼過ぎだった。
キャンプの前に置かれたテーブルの上には俺たち二人分の食事が用意されていた。
他の人々は昼食を食べ終わったのか作業に戻っている
テーブルの上の食事は、俺の分は肉の塊とスープ。
凶介の分はサラダの山盛りだ。
スープは俺のと同じものだった。
俺たちがテーブルに近寄り食事を眺めた。
「アニキ、スープが冷めきってますね……」
「俺の分は肉まで冷め冷めだぞ」
俺たち二人が椅子に腰掛け食事を取ろうとするとスカル姉さんとハドリアヌスのオッサンが近付いてきた。
ハドリアヌスが軽く会釈する。
スカル姉さんが言う
「よう、アスラン。帰ったか。どこで遊んでた?」
「遊んでねーよ。ちゃんと仕事だ。そもそもなんで友達でもない凶介と一緒に遊びに行かなきゃならないんだよ」
「酷い、アニキ!!」
俺は肉に齧り付きながら訊く。
「ほほろで、はんだい、ふはるねーはん?」
「おい、こら、食うかしゃべるかどっちかひとつにしろ」
怒られた。
なので俺は肉を食べるのに集中した。
冷めても肉は旨いな~。
俺はスカル姉さんに頭を鷲掴みに去れて力任せに捻られた。
「テメー、何を食ってやがる!!」
だって食うか話すかどっちかにしろって言ったじゃん!?
だから食うのを優先したのにさ!!
「いいから話を聞け!!」
仕方無いので俺は食うのを一旦中断した。
「なんだよ、スカル姉さん。今俺は食事中だぞ?」
「あんたさ、ゴリを夜間監督とかに任命しただろ?」
「ああ、したぞ。大臣ズのボーンゴーレムは力強いからな、町開発の力になるだろうさ。しかし、夜しか動けないんだ。だってゴーストだもん」
するとハドリアヌスが口を挟んで来た。
「今現在私が総監督だ。彼らが勝手に夜な夜な要らん作業をされると困るのだよ」
「じゃあ、お前とゴリで話を擦り合わせろよな」
「それが旨くいかないんだ。ゴリ殿曰くゴーストたちが言うことを聞かないとか……」
「なんだよそれ、そんなことまで俺が知るかってんだ」
するとスカル姉さんに耳を摘ままれ引っ張られた。
「いでぇでぇでぇぇえええ!!」
「お前がこの町のオーナーなんだから、知らんで済むか!」
「じゃあ、どうしろと!?」
ハドリアヌスが言う。
「今昼間の作業員は魔王城前の石橋からエルフ村まで通じる道を舗装しているんだがね。道が出来たらその道をメインストリートとして建物を築いて行く予定だ。そこでメインの作業場が完成したら、石橋の修復に入る予定でね」
「へぇ~、ちゃんと予定を考えているんだ~」
てっきり行き当たりばったりかと思ってたぜ。
ハドリアヌスが人差し指を立てながら言う。
「そこでだ。あのゴースト&ゴーレムズには石材の確保を頼みたいのだが」
「あー、なるほど。人間よりパワフルで疲れ知らずだから、確かに石材運びには向いているかも知れんな」
ハドリアヌスはクレーター山脈の西を見ながら言った。
「西の山に良い岩山が在る。そこから石材を切り出して運んでもらいたい。城の修復や防壁ようの石材は、その岩山から採取できるだろうさ。まあ、そこまでの道作りで森を切り開かんとならんがな」
「じゃあ、石材採取の道作りからゴリに命じてやってくれないか?」
「ああ、了解した」
「それとだ、ゴリに舗装の技術を指導してくれよ。道作りにもコツってあるんだろ?」
「そりゃあ、あるんだが……」
「頼むよ、ハドリアヌス」
「それを私に頼むぐらいなら、ソドムタウンで土木経験者を雇ったほうが早くないか?」
「あー、でもね~……、お金が……」
資金が少ないから節約したいのだ。
「たぶん、どの町にも要ると思うんだ。歳や病気で体が効かなくなった職人が。そう言うヤツを貧民街から格安で雇えばいい。指導員役だけなら場合に寄っては飯代だけで雇われるヤツも要るだろうさ」
なんか貧乏人の足元を見ているような言いかただな。
「まあ、分かった。じゃあ飯を食ったらソドムタウンで探してくるよ。ゴリのサポート役が見つかるまで、最低限の指示を頼んだぞ、ハドリアヌス」
「まあ、仕方無い。了解した」
話が纏まるとハドリアヌスは作業の監督に戻って行った。
俺は肉に噛り付きながら言う。
「すはるねーはん、きょうふけ、はなりがあるんたがひひか?」
「何を言ってるか分からんわ!」
スカル姉さんに頭をどつかれた……。
俺は口の中の肉を飲み込むと言う。
「スカル姉さん、凶介。二人に頼みたい仕事があるんだ」
「なんだ、改まって?」
「なんすか、アニキ?」
「今日見つけた金脈の話しだ」
「金脈!!」
スカル姉さんの瞳が乙女のように輝いた。
俺は神々のスコップを見せながら語る。
「このマジックアイテムは金脈を見つけ出すことが出来るマジックアイテムなんだ。そして、ここから1キロほど離れた場所に金脈を発見したんだよ」
「ほうほう」
「その発掘の責任者をスカル姉さんに頼みたい。そして作業員は凶介のところの信用できるエルフたちに頼みたいんだ。何せ掘り出すのは金脈だからな。信用できる人間にしか頼めないんだ」
「なるほど、引き受けた!!」
スカル姉さんは何の文句も言わずに即引き受けてくれた。
やはり大金が絡むと早いな、この人は……。
「すんません、俺ら人間じゃあなくてエルフですが引き受けます!」
よし、凶介も引き受けてくれたぞ。
これで金脈ゲットの道のりは完成した。
あとは本当に金脈が出て来るかだ。
それだけは神々のスコップを信じるしかない……。
すると凶介が顎を擦りながら考え込む。
「どうした、凶介?」
「いや、村の若い衆の一部は工事に駆り出されているから、ここは親父に頼んで年配ドルイドたちに手伝ってもらうしかないかなって……」
「ドルイド?」
「ウッドゴーレム使いたちにですよ。ですがそうなるとエルフの村の警備がおろそかになるんすよね……」
金に目が眩んだスカル姉さんが言う。
「だいたい警備なんてしても誰が攻めて来るって言うんだ?」
「まあ、それはそうなんですがね……」
「兎に角だ。その辺は社長に話して村人から作業員を出してもらってくれ、凶介」
「へい、分かりましたアニキ」
スカル姉さんが俺の手元にある神々のスコップを凝視しながら言う。
「なあ、アスラン、ちょっとそのマジックアイテムを見せてくれないか?」
「ああ、いいよ」
俺がスカル姉さんにスコップを手渡すと、何やら魔法を唱え始める。
神々のスコップに翳したスカル姉さんの掌が光だした。
魔法でマジックアイテム鑑定でもしているのかな?
「凄いわね、このスコップ!」
スカル姉さんが目を剥いて驚いていた。
「掘った鉱物が倍になるだけじゃなくて、金脈まで見つけられるの?」
凶介がサラダを頬張りながら言う。
「しかもインテリジェンススコップですからね~。ホグホグ……」
するとスカル姉さんに真っ直ぐ立てられながら持たれていた神々のスコップがゆっくりと動き出した。
スコップの柄がスカル姉さんの白衣の中に滑り込むとミニのボディコンスカートを捲り上げたのだ。
スカル姉さんの黒いスケスケパンティーが露になった。
「何するんじゃい、このスケベスコップは!!」
怒鳴ったスカル姉さんが神々のスコップを地面に叩き付けながらオタオタとミニスカートを元に戻す。
「あれ、スカル姉さん、それってこの前、煩悩を叶える水晶から取り出したエロエロ下着だよね?」
「なんか文句ある!!」
俺はスカル姉さんにフルスイングで頭を殴られた。
痛い……。
それにしてもマジで履いてるんだ。
【つづく】
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