白い歯の美少年

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 或る日曜日の昼の事、僕は河川敷で犬の散歩をしていた。  高水敷と法面はニワゼキショウやウマノアシガタの小花で彩られ、ゲンゲの群落では幼女が首飾りを作っている。  春の河川敷は花だけでなく小鳥や蝶も目を楽しませてくれて楽しげに舞っていて色とりどりで心が自然と華やぎ和んで来てとっても気持ちが良いなあと浮かれていると、向こうから僕と同じく犬の散歩をする青年がやって来た。  僕の愛犬は2歳の雄の柴犬で青年のも同じ年恰好の柴犬なのだが、両方が引き寄せられるように近づこうとするものだから僕と青年も自然と近づいて顔を見合わせた。  すると、青年は愛くるしい顔をにっこりと綻ばせ、軽く会釈した。  僕も自分で言うのもなんだが、愛くるしい顔を思わず綻ばせ、軽く会釈した。  つまり美少年同士が微笑み合って挨拶した訳だ。
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