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「ありがとう。私を暗闇から『光』の世界に戻してくれて・・。やっとお礼が言えたわ」
「僕こそ、命の危機から救ってくれてありがとう」
朱莉が大きく頷く。
「あの時の経験が在ったから、私は医師になろうと思ったの。そして今は緊急救命のドクターをやっている。貴方が繋いでくれた私の命・・そのお陰で私は沢山の人を助けることが出来ているの。裕翔君は結果として私の命を救っただけでなくて他の多くの人の命の恩人と言えると思うわ」
その時、病室のドアが再び開いた。朱莉が振り返りながら言った。
「そして、彼女も・・」
病室の外から女の子が飛び込んで来た。その後ろに女性が続く。
「お兄ちゃん! 私を助けてくれてありがとう!」
ベッドの横でそう言った女の子の後ろで女性が大きく頭を下げた。
「彼女は川橋美和ちゃん。貴方が身代わりなって助けた女の子よ。彼女は傷一つ無いわ。貴方が彼女の命も救った」
女の子は満面の笑顔を浮かべている。
「私、お姉ちゃん先生が、お兄ちゃんを助けるのを横で見ていたの・・。とてもカッコ良かった。だから私もお医者さんになろうと決めたの!」
僕は大きく頷いた。
「美和ちゃん、怪我無くて良かった。そしてお医者さんになる夢は素晴らしいと思うよ。夢が叶うといいね」
僕が救った命がこうやって次の命を救って行く。そんな人を助ける正の連鎖が続いて行くんだと僕はとても嬉しくなった。
僕の言葉に美和ちゃんは朱莉と顔を見合わせ笑顔で頷いた。
二人の笑顔が窓から差し込む太陽の『光』で輝いている。
そして朱莉の胸で『ブルーストーンカルサイト』のペンダントがキラリと『光』った。
FIN
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