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「ねぇ貴方、日本人?」
ツアーが始まりガイドに続いてつづら折りの坂を降りていると彼女が声を掛けて来た。
「うん、そうだよ」
「良かった。このツアー、絶対参加したかったんだけど、両親が参加してくれなくて・・。貴方も日本からの旅行?」
「僕はカルフォルニアに住んでいるから国内旅行かな・・。僕も両親を誘ったんだけどね・・」
「アメリカに住んでるんだ。凄いね。私、田所朱莉。貴方は?」
僕は強引な女の子だなと思ったけど、その可愛い笑顔に文句を言うことが出来なかった。
「秋月裕翔・・。宜しく・・」
つづら折りが終わると通常の見学通路を離れて鍾乳石が剥き出しになった洞窟の深部に向かって行く。暫くすると通路の照明も無くなり、僕達のヘルメットに装着されたライトだけが周りを照らしている。
上を見上げるとライトの『光』が天井の鍾乳石を照らしている。そこには様々な形状の鍾乳石が無数に並んでいるのが見える。それは氷柱の様にキラキラ『光』ってとても幻想的だ。
「わぁー、綺麗!」
僕の後ろに続いていた朱莉が声を上げた。
二十分程歩くとビックルームと呼ばれる広場にでた。高さ約八十メートル、広さはフットボール競技場十四面分と言う広場は鍾乳洞内の世界最大の空間だとガイドが説明してくれる。
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