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* * *
「……みなさん。ご心配をお掛けしました」
と、私はカズチの家に集まった村の人達に頭を下げる。
あれから、近くの病院に運ばれた私とおばあちゃんは数日入院を強いられたものの軽い火傷を負っただけで、命に別状はなくすぐに退院することができた。
「……ったく、本当だよ」
なんて素っ気なく呟いたカズチだが、そんな彼が今日の退院祝を計画してくれたのだとマミチから聞いている。
「ありがとうね、カズチ。あと、みんな黙っていてごめんなさい」
と、もう一度頭を下げるとマミチが私の左腕に抱きつく。
「水臭いよ。友達なのに」
“__友達”
その言葉があまりに温かくて思わず泣きそうになる。
「ったく、お前はどんな姿でもお前だろ」
と、やっとこちらを見たカズチがニッと白い歯を見せる。
「そうだよ! と、いうより私はトントンの健康の方が心配! 痩せすぎだから!」
と、カヨチが私の背中をバシリと叩く。
__この場所は、ありのままの私を受け入れてくれる。
良い意味で、この場所だけは昔から変わってはいなかった。
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