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私は誤魔化すように笑いながらそっと写真を手に取る。
毬栗頭に茶色のニット帽を被ったカズチに赤い帽子を被った私。
水色のマフラーを巻いたマミチに、黄緑色の手袋をつけたカヨチ。
__そして真ん中には、私があげた赤いマフラーを巻いた彼がいる。
彼は紛れもなく私達にとって友達の証だ。
例えその姿形が溶けて消えてしまっても、霜焼けになりながら四人で彼を造った時間は思い出は消えることはない。
私達の胸の中でいつまでも輝き続けている。
「私達の友情は永遠だ」
「それ、お前が言う?」
と、すかさず突っ込むカズチ。
「カズチ! 根にもつ男はモテないよ!」
と、カズチの背中を叩くカヨチ。
「まあまあ」
そして、二人を宥めるマミチ。
「お腹空いたな」
と、ぼやく私を見て三人が笑い出す。
どうやら本当の私は、あの頃の私と大して変わってはいないのかもしれない。
そう思わせてくれるみんなに、心の底から感謝している。
“__僕の姿が溶けてやがてなくなっても、僕達の友情は消えないよ”
彼は私に大切なことを教えてくれた。
__私達の友情は永遠。
私が彼がみんなが……。
__そう、信じ続けている限り。
おわり。
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